この記事のポイント

合計がプラスだったのは3つ。グランビルの法則(+43.97R)、マルチタイムフレーム(+18.89R)、ボリンジャーバンド(+8.44R)。マイナスだったのはダウ理論(−23.51R)とエリオット波動(−29.90R)でした

勝率は全部3割台(32.9〜39.8%)。これは法則の優劣ではなく、「利確を損切りの2倍の幅に固定する」という検証条件の帰結です

一番効いたのは「押し目・戻り目を待つ形」。上位の流れに沿って、移動平均線への押し目で入るグランビル型と、MTF型が上位に残りました

FXの教科書を開けば、必ず載っている有名な法則があります。ダウ理論、グランビルの法則、ボリンジャーバンド、エリオット波動、マルチタイムフレーム。

では、その法則どおりに機械的に売買したら、2026年の相場で実際にどうなったのか。気になったので、5つの法則すべてにまったく同じ条件を適用して、1年間分のデータで2,515回分の売買をシミュレーションしました。

結論サマリー:残ったのは3つ、沈んだのは2つ

先に結論です。

  1. 合計がプラスだったのは3つ。グランビルの法則(+43.97R)、マルチタイムフレーム(+18.89R)、ボリンジャーバンド(+8.44R)。マイナスだったのはダウ理論(−23.51R)とエリオット波動(−29.90R)でした
  2. 勝率は全部3割台(32.9〜39.8%)。これは法則の優劣ではなく、「利確を損切りの2倍の幅に固定する」という検証条件の帰結です。勝率だけ見ても何も分かりません
  3. 一番効いたのは「押し目・戻り目を待つ形」。上位の流れに沿って、移動平均線への押し目で入るグランビル型と、MTF型が上位に残りました

以下、条件と根拠を全部示します。先に断っておくと、これは「この法則は今後も勝てる」という話ではありません。この条件・この期間ではこうだった、という記録です。

検証の土俵:5法則すべてに同じルールを適用した

検証の条件は、法則ごとに変えていません。

  • 対象:ドル円・ユーロドル・ポンドドル・ポンド円・ドルカナダ・豪ドルドルの6ペア、2026年1月〜10月、1時間足(データはDukascopy)
  • エントリー:各法則のサインが確定した足の、次の足の始値。終値で確認してから入るので、未来の情報は使っていません
  • 損切り:各法則のサインの根拠の外側(詳しくは後述)
  • 利確:損切り幅の2倍(+2.0R)で固定。全法則共通
  • 時間切れ:120本(約1週間)で決済
  • コスト:ペアごとに想定スプレッド(ドル円0.3pipsなど)を全取引から差し引き済み
  • 同じペアでポジションを持っている間は、次のサインは取らない

各法則のサインの定義も、一般的な解説の中心にある使い方を機械判定できる形に落としました。ダウ理論なら「高値・安値の切り上げが続く中での直近高値の更新」、グランビルなら「上昇する移動平均線への押し目からの反発(買い2)」、ボリンジャーなら「スクイーズ後のバンドブレイク」、エリオットなら「第2波が38.2〜78.6%押して第1波の高値を抜ける形」、MTFなら「日足のトレンド方向に、1時間足の押し目が回復したところ」。定義の詳細と、機械化で落とした部分は検証記録として別途まとめています(この記事の末尾にリンク予定)。

ぶた吉くん

法則って、名前が有名な順に効くもんだと思ってた……

ほ〜キング博士

知名度と検証結果は別物じゃ。しかも今回は全法則に同じ出口ルールを課しておる。『法則そのもの』というより『サインの骨格』を比べた検証じゃな

結果一覧:数字は全部、並べて出す

法則トレード数勝率利確到達損切り合計R平均R
グランビルの法則81136.6%285512+43.97R+0.054R
マルチタイムフレーム29939.8%70141+18.89R+0.063R
ボリンジャーバンド54834.9%188357+8.44R+0.015R
ダウ理論42634.3%120271−23.51R−0.055R
エリオット波動43132.9%127287−29.90R−0.069R

Rというのは、損切り幅を1とした損益の単位です。損切り幅が違う取引同士を比べられるので、法則の比較はこの列で見てください。

注目してほしいのは勝率の列です。全部3割台。利確が損切りの2倍の設計では、勝率33.3%がトントンのラインなので、「勝率3割台」は失敗の証拠ではありません。そのうえで、トントンを超えた3つと、届かなかった2つに分かれた。これが今回の結果です。

グランビルの法則は1位:押し目を待つ形が、そのまま数字に出た

最も数字が良かったのはグランビルの法則でした。検証したのは8パターンのうち、解説記事でも中心に置いている「押し目買い・戻り目売り」です。

効いた理由は、サインの構造にあるとボクは見ています。この形は「流れに逆らわない」「移動平均線まで押すのを待つ」「反発を確認してから入る」の3つが組み込まれていて、エントリー時点で損切り位置(押し目の安値)がすぐ後ろに来ます。実際、平均の損切り幅は24.2pipsと5法則の中で最も小さい部類でした。損切り幅が小さい取引は、同じ値動きでもRが大きくなる。構造の差が、そのまま結果の差になりました。

+43.97R

ペア別に見ても6ペア中4ペアでプラスと、特定のペアだけの偏りでもありませんでした。ただし、最大連敗は15回。数字が良い法則でも、連敗の谷は深いです。ここは誤解しないでください。

グランビルの8パターンの解説そのものは「グランビルの法則とは?8パターンの中心は押し目買いと戻り目売り」で個別に書いています(内部リンク予定)。

損切り幅が小さい取引は、同じ値動きでもRが大きくなる

グランビルの法則のサイン例(利確到達)。押し目からの反発で入る形(2026年・1時間足、Dukascopyデータ)
グランビルの法則のサイン例(損切り)。押し目が崩れた例(2026年・1時間足)

マルチタイムフレームは2位:勝率は最高、ただし時間切れ決済が3割

2位はマルチタイムフレームでした。勝率39.8%は5法則で最高、平均Rも+0.063Rとグランビルを上回っています。

特徴は決済の内訳です。利確到達70件・損切り141件に対して、時間切れ決済が88件と約3割を占めました。日足のトレンドに沿って入る形は「大きく崩れにくい」反面、損切り位置が遠く(平均74.2pips)、2倍の利確ラインにもなかなか届かない。じわじわ型の数字です。

もう1つ正直に書いておくと、プラスは買い側に偏っていました(買い+28.60R/売り−9.71R)。2026年は日足の上昇局面が長かった年なので、この結果には相場環境の追い風が混ざっています。下降が主体の年では順位が変わる可能性があります。

手順そのものは「マルチタイムフレーム分析とは?上位足→下位足で読む手順を解説」で解説しています(内部リンク予定)。

マルチタイムフレームのサイン例(利確到達)。日足の流れに沿った1時間足の押し目回復(2026年・1時間足)
マルチタイムフレームのサイン例(損切り)(2026年・1時間足)

ボリンジャーバンドは3位:ブレイクは「付いていく」だけではトントンが精一杯

3位はボリンジャーバンド。スクイーズ(バンドが絞られた状態)からのエクスパンション、つまりバンドの外側へのブレイクに付いていく使い方で検証しました。

結果は+8.44Rと、かろうじてプラス。ペア別ではドル円が−20.23R、ドルカナダが+17.69Rと、ペアごとの差が大きく、「ブレイクの勢いが続きやすい相場かどうか」に成績が左右される形でした。ブレイクした瞬間に入る形は、ダマシに弱い。その弱さと、勢いに乗れたときの伸びが、ほぼ相殺された結果です。

逆張り(±2σでの反発狙い)は今回の対象外です。順張りと逆張りを混ぜると検証にならないので分けました。バンドの見方そのものは「ボリンジャーバンドとは?±2σに95.5%収まる話の注意点と見方」で解説しています(内部リンク予定)。

ボリンジャーバンドのサイン例(利確到達)。スクイーズ後のブレイク(2026年・1時間足)
ボリンジャーバンドのサイン例(損切り)。ブレイクがダマシになった例(2026年・1時間足)

ダウ理論は4位:「高値更新で買う」を機械化すると、遅さが裏目に出た

4位はダウ理論でした。6ペア中5ペアでマイナスと、ペアを問わず一貫して弱い結果です。

ただし、これは「ダウ理論が間違っている」という結果ではないとボクは考えています。今回機械化したのは「トレンドが確定したあと、直近高値の更新で入る」という、最も素直な売買サイン化です。この形は、確認してから入るぶんエントリーが遅く、損切り位置(直近の安値)までも遠い。平均の損切り幅は44.0pipsと広く、伸びきったところで入って押しに振り落とされる取引が積み上がりました。

ダウ理論の本来の役割は、売買サインそのものより「相場の状態を判定する物差し」です。物差しをそのまま売買ボタンにすると遅れる。今回の結果は、その性格を数字で確認したもの、と読むのが正確だと思います。判定の考え方そのものは「ダウ理論の6原則とは?トレンド転換の見極め方を図解で解説」で解説しています(内部リンク予定)。

ダウ理論のサイン例(利確到達)。高値更新での継続エントリー(2026年・1時間足)
ダウ理論のサイン例(損切り)。伸びきった後の押しに振り落とされた例(2026年・1時間足)

エリオット波動は5位:機械化した「第3波の入口」が最も荒れた

最下位はエリオット波動でした。先に断っておくと、波の数え方には裁量が大きく、完全な機械化はできません。今回検証したのは「第1波→第2波が38.2〜78.6%押す→第1波の高値を抜けたら第3波の入口とみなす」という近似定義です。エリオット波動そのものではなく、第3波の入口とされる形の検証だと思ってください。

−29.90R

結果はペアごとのばらつきが5法則で最大でした(ポンド円+15.99R〜豪ドルドル−21.42R)。形が当てはまる相場では大きく伸びる一方、当てはまらない相場では損切りが連続する。平均の損切り幅は33.9pipsと比較的小さいのに合計Rが最も沈んだのは、小さな負けの件数が積み上がったためです。

「数え方次第で結果が変わる」こと自体が、この法則の検証の難しさです。第3波を狙う考え方の解説は「エリオット波動で第3波を狙う理由|最も短くならない波の数え方」で書いています(内部リンク予定)。

エリオット波動(第3波の入口の近似定義)のサイン例(利確到達)(2026年・1時間足)
エリオット波動(第3波の入口の近似定義)のサイン例(損切り)(2026年・1時間足)

考察:明暗を分けたのは「待てるかどうか」だった

5つの結果を並べて見えてくるのは、上位と下位の差が「サインの精度」よりも「エントリーの構造」にあることです。

  • 上位2つ(グランビル・MTF)は、どちらも押し目・戻り目を待ってから入る形で、損切り位置がエントリーの近くに自然に置けた
  • 下位2つ(ダウ・エリオット)は、どちらもブレイクを確認してから入る形で、入った時点で値幅が進んでいて、損切りまでの距離も広がりやすかった
  • ボリンジャーのブレイク型がその中間に来たのも、この軸で見ると整合します

もちろん、これは今回の出口ルール(利確2倍固定)での話です。利確の幅や時間切れの長さを変えれば、ブレイク型の数字は変わり得ます。「どの法則が最強か」ではなく、「どの構造が、どの決済ルールと相性がいいか」。検証で分かるのはそこまでで、それ以上は言えません。

ぶた吉くん

結局、法則の名前じゃなくて入り方の構造なんだね

ほ〜キング博士

そうじゃ。有名な法則も、機械的に回せば半分は沈む。逆に言えば、法則は『当たる魔法』ではなく『場面を絞る物差し』として使うものじゃな

この検証の限界:都合の悪い前提も全部書いておく

最後に、この検証の弱いところを明示します。

  1. 裁量を落としている:実際の解説が勧める「場面の取捨選択」(強い節目の有無など)は再現していません。検証したのはサインの骨格だけです
  2. 出口ルールは検証用の統一仕様:利確2倍固定は、各法則が推奨する決済方法ではありません
  3. 期間は2026年の約10か月だけ:介入や金利転換を含む特殊な年です。別の年では順位が入れ替わり得ます
  4. エリオット波動は近似定義、グランビルは8パターン中の1つ、ボリンジャーは順張りのみが対象です
  5. コストは固定スプレッドの想定で、指標発表時の拡大などは織り込んでいません

それでも、2,515回分を同じ土俵で並べたことには意味があると思っています。「有名だから効くはず」という思い込みを外して、自分の使う法則を数字で見る。そのための材料として使ってください。

まとめ

  • 2026年の同一条件検証では、グランビル(押し目型)・MTF・ボリンジャーがプラス、ダウ理論・エリオット波動(ブレイク型)がマイナス
  • 勝率は全法則3割台。利確2倍の設計ではそれが普通で、見るべきは平均Rのほう
  • 明暗を分けたのは法則の知名度ではなく、「押し目を待てる構造かどうか」だった
  • ただしこれは2026年・この条件での結果です。法則は当てる魔法ではなく、場面を絞る物差しとして使うもの、というのがボクの結論です

検証の設計・定義・全2,515件の集計は検証記録に残してあります(リンク予定)。各法則の解説記事とあわせて読んでもらえると、この数字の背景が掴みやすいと思います。

法則は当てる魔法ではなく、場面を絞る物差しとして使うもの

✅ まとめチェック

✅ 2026年の同一条件検証では、グランビル(押し目型)・MTF・ボリンジャーがプラス、ダウ理論・エリオット波動(ブレイク型)がマイナス

✅ 勝率は全法則3割台。利確2倍の設計ではそれが普通で、見るべきは平均Rのほう

✅ 明暗を分けたのは法則の知名度ではなく、「押し目を待てる構造かどうか」だった

✅ ただしこれは2026年・この条件での結果です。法則は当てる魔法ではなく、場面を絞る物差しとして使うもの、というのがボクの結論です

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36歳、2児の父。18歳で株と投資信託に興味を持ち、21歳でFXに出会いました。最初はパチンコ代わりのギャンブルトレード。結婚を機に一度きっぱり辞め、生活が落ち着いてからテクニカルを学び直して再挑戦しています。「チャートを見ればファンダメンタルズは全部分かる」という言葉は信用しません。ファンダに順張り、テクニカルはトレンドフォロー。そして今いちばん意識しているのは、勝つことより負けを減らすこと。このブログでは、その過程を数字で検証しながら記録しています。